タンノイ・オートグラフを導入しました(その10.)

(デッカ社が初期のステレオ録音で汎用した、DECCA Treeです)
オーマニは好みの録音にも流派があります。
マルチマイクで音色の再現、ナマ以上の音質を狙ったソフトを好む人と、ワンポイントマイクで音場の再現を重視するソフトを好む人です。
ワンポイントが全て優れているとは私は思いませんが、マイク3本のDECCA Treeで録音されていた初期のDECCAや、やはりマイク3本のマーキュリー・リビングプレゼンスシリーズには大変優れた録音があります。
そしてワンポイント録音を好む人は、スピーカーも点音源でないと流儀が完成しないと思うのですが。
音場再生に初めて言及したのは、実は五味康祐先生です。
「西方の音」の中で、五味邸のオートグラフは自室の壁一面にオペラハウスが現れ、ジークフリートやミーメの動きが手に取るようにわかる。中央に燃えている溶鉱炉の炎の色までわかる。しかし劣ったスピーカーでは歌手が順番に現れ、大口を開けて歌っては消える。すなわち空間が無いと言った事を書かれていました。
暗にコンクリートホーンなどの大掛かりなマルチスピーカーシステムを批判されていたのだと思います。
後年、評論家のフウ(すみません、ワードで字が出てきません。ニンベンに専です)氏がその方面に傾倒され、TADのユニットを使った自作スピーカーからB&Wのノーチラスに鞍替えしています。同じく評論家の小林氏もTADの巨大システムから、小型の2wayに変更されています。
音場再生重視派は、まだオーマニの最大派閥ではないと思いますが、音色再現重視派から転向される方の割合は徐々に増えていると思います。
逆に、音場派から音色派に転向する人はいないのでは?
音色派の中で、やり切った感のある人、限界を感じた人が音場派に流れている様に思います。
自分も音色派一辺倒では限界が見えてきた感じがします。これから新しくオーディオをやるなら、たとえばKEFのBlade One Meta(2wayコアキシャルにウーファーを付加)なんか良いんじゃないかなーと思います。
でもまてよ、ベンプレ亭にはタンノイHPDゴールドが有るじゃないの。
五味先生はオートグラフで音場再現を達成されていたようだぞ。
というわけでオートグラフに一丁チャレンジしてみるかなと。
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