EMT927stを導入しました(その7.最終回)

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 (左からEMT927st、デンオンDN308F、RCA70C-1です。どれも16インチ盤の再生できるタンテですが、プラッターの直径はEMTが最大です)

 ベンプレ亭書斎にはEMT927stの仲介をしてくれたオーディオマエストロの是枝さんともうお一方が搬入してくれました。

 EMT927stはW680㎜、D528㎜もあるので、大型ラックでも1台では乗りません。
 ベンプレ親父は事前にターゲットオーディオの大型ラック2台の天板上の機材を片付け、墨汁塗装をした18㎜厚のフィンランドバーチ合板の端材をラックの上に地震用の防振シートを介して乗せ、その上に927stを乗せました。
 
 でも、このままではラックから927が落っこちかねません。
 バーチ端材はラック天板に接着力にある防振シートで留めてあるのでがラックからズレる事はないでしょう。
 しかし927がバーチ材の上でズレるとダメですから、バーチ材の表側にやはりバーチ材の木片で927の金属フレームのガイドを作りました。
 この上から重たいEMT927stを乗せておけば、927はそう簡単にはラックから落ちないはずです。

 カートリッジは別に用意した完動品のTSD15、フォノイコライザーは是枝式のトランジスタ・MC用フォノイコ、ゲイン60dbを新調しました。

 タンテ、アームの水平を取り、針圧を2.7ℊに調整しました。
 ありゃ、コレでもうする事がないぞ…ということは、後は聴くしかありませんな。
 怖いような気持ちですが、こんな気持ちにさせてくれる機材はALTEC A4以来ですね。

 LPはモーツアルトの「後宮からの遁走」、スイットナー、ドレスデンです。再生装置はVITAVOX BSS BINシステムを使いました。
 いきなり素晴らしいです。音の見通しが良く鮮明な音ですね。
 それにダイナミックレンジが拡張しました。もしくは拡張したように聴こえます。ffでの音の崩れが全くなく、突き抜けるように音が伸びますね。
 五味先生の言われるEMTでは30人の合唱が50人に聴こえるという意味が良く分かりました。
 セパレーションもベンプレ邸書斎史上、最高のデキです。

 次はロンドンウエスタン・システムに繋いでジャズ、ディアゴスティーニ盤の「エラ&ルイ」を。
 こちらも素晴らしい。声の温かさや湿り気を出しつつも、シャウトの感じが断然シャープに表現されます。強い音の表現、立ち上がりの良さはこれまでに聴いたことがない見事さです。もう文句が出ませんな。

 実はこの927st、最初から完調に動作するとは思っていませんでした。
 RCA70C-1もマイクロトラック740も、コラーロ4T.200も、トーレンスTD124mkⅠもあれこれ突き回してようやく納得できる音になりましたから。
 ところが最初からばっちりです。

 モーターベアリングの注油や進相コンデンサーのチェック、取り換え、アイドラーの取り替えあたりもボツボツやらんといかんと思っていましたが、1年くらいはこのまま聴けそうですぞ。

 さて、凄いオーディオ機械を聴くと「これまで何を聴いてきたんだ !!」という表現を時に目にします。
 その表現は私は嫌いでした。だってオーディオで再生される音は一つではなく、それぞれの個性に応じた多様な美があると考えていますから。

 でも、今回ばかりは言わせてもらいます。
 「これまで何を聴いてきたんだ !!」

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