EMT927stを導入しました(その3.)

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(驚くほど巨大なシンクロナスモーターと進相コンデンサーです。コンデンサーは多少抜けたのでしょうか、追加のCが付いています。
 モーターは作動中に手を触れても全く振動を感じません。最初は電源が入っていないのかと思ったほどです。
 マイクロトラック740やコラーロ4T.200はモーターの振動を針に伝えないためにいろいろやっていましたが、927のモーターはその必要が全くありません。
 モノが全然違います)

 ベンプレ亭書斎にお輿入れしたのはEMT927の中のstというモデルです。あまり詳しくないのですが、927には前身であるR80、その後927F、927st、927Ast、927Dstの5機種があるようです。メカ部分はR80からほとんど変わっていないそうです。

 ステレオサウンドの記事とネット情報を要約すると、以下のような話かな?
 R80、927Fはモノラル・フォノイコ内蔵で、927st以降はステレオ・フォノイコ内蔵。
 R80、927FはオルトフォンRF297アーム、927st、AstはオルトフォンRMA297(309じゃないです)かEMT997アーム。927DstはEMTアーム。
 stまではレコード針の位置を示すインジケーター(スケール、ゲージ)がなく、927Ast以降はインジケーター付き。
 Astまでは樹脂製のサブプラッターでクイックスタート、クイックストップ機能が使用可。
 927Dstはガラス製サブプラッターでクイック機能は使用不可。
 Dstのみセンタースピンドルにテーパーが付いており、スプリング機構を備える(LPを乗せただけではサブプラッターに盤が密着しないが、専用のスタビライザーを使用して密着させる)。

 間違いもあると思うのですが、こんなイメージですか?
 なお、ステレオ・フォノイコには真空管式の139stとトランジスタの155stがありますが、いつまでが139st、いつからが155stというのは分かりませんでした。
 モデルが変わったところで球から石に変わったのではなく、どこかのモデルの途中でフォノイコだけ変更されたのかもしれませんね。

 ただ、ネットを見ていますと、同じモデル、例えば今回私が手に入れた927stでもアーム違い、カートリッジ違い、針先インジケーターの有るやつ無いやつ、サブプラッターが樹脂のやつガラスのやつなど結構バラ付いているようです。

 なお瀬川先生、山中先生が使っておられたのは最終モデルのDstという説と、瀬川先生はst、山中先生はDstだったという二説があるようです。この辺りも詳細不明です(私はお二方ともDstだと思います)。

 私のstはAst以降には付いている、インジケーターがありません。しかしスケール取付用の穴は開いていて、プラスチックのカバーで蓋がしてあります。
 同じstでも、フレームに穴のないやつ、穴だけ空けてありスケールの無いやつ、スケール付きの奴があるようです。

 ここでいつものイイカゲンな推理ですが、stは生産後期にはAstと併売されていたのではないでしょうか?
と言いますのも、stの後期モデルとAstのシャーシは同一だと思うからです。

 stのシャーシ(金属製のベース)はインジケーター用の穴無しと穴ありの二種類があります。st販売の初期にはAstはありませんから、インジケーターの取付穴はシャーシには無かったはずです。
 その後Astが開発された時期からはシャーシは穴ありだけが作られ、後期モデルのstではこの穴にプラスチックのお皿(針掃除用ブラシを入れるのにちょうど良いw)を取り付け、Astではインジケーターを組み込んでいたのでは。

 針先インジケーターはLPの偏芯を調べるもので、レコード制作会社がラッカー盤の偏芯をチェックする為に使うわけですが、927は放送局でも盛んに使われていたそうです。
 放送局ではこの針先監視装置は不要でしょう。
 ですからAst販売後もstは放送局用として併売されてのいたのではないでしょうか。

 まあその、無駄話はヤメて、自分のEMT927st戻りましょう。上記の推理が正しいとしますと、私の927はstの後期モデルではないでしょうか。

 Astはその後Dstにモデルチェンジしました。この927Dstはガラス製サブプラッターになってクイックスタート、ストップが出来ませんから、放送局では使えません。こちらはレコード制作会社専用モデルだったのでしょうね。
 レコード制作用なので、Dstはモーターが選別品との説もあるようですが、これは今となっては確かめようがありません。

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