ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その5.)
ではベンプレ親父の見立てた2080Aに関する追加事項を再掲の写真を見ながら語りましょう。
このユニットがアルテック515をベースに作られている事は間違いありません。
バスケットの形状はアルテック515~515B前期型と同じでリアマウント方式。バッフルに留めるネジ穴の位置も同じです。
エッジも515と同じフィックスドエッジ、センターキャップの形状も、エア抜き穴のサイズも同一です(エア抜き穴に裏打ちしてある布の色がオレンジがかった茶色で、ココは黒である515と違います)。
ダンパーも515と同じベークライト製蝶型ダンパー(スパイダー)です。
コードを留めるターミナルも515と同一のパーツです。
515との違いは以下の様です。
まず写真に見る通りアルニコ・マグネットがより大型で、515よりマグネットの奥行きが長くなっています。
先ほどバスケット形状は515と同様と述べましたが、フレーム前面、バッフルに接する部分の厚みが515より約3mm厚くなっています。ガスケット(515はコルク、2080は黒い綿フェルト)も515より2mm程度厚いため、合計で5mm程フレーム前面が厚く仕上がっています。
マグネットサイズとフレーム前面の厚みが増している為でしょうか、重量が15.4kgとなり、515Bの11.8kgより3.6kgも増加しています。38cmウーハーとしては破格の重さなので、取扱が容易なように、マグネットカバーにハンドルを付けたのでしょう。
初めて見た時は「ハンドルとは大げさだなー」と思っていましたが、ユニットをバッフルに取り付ける段になってハンドルに随分助けられました。コレがなければ二人がかりでもユニットの取り付けには難渋しそうですね。
次にコーン紙が違います。48gと515より軽量ですが、腰の強い丈夫なコーン紙です。
流石に寄る年波には勝てず、ベンプレ親父が入手した2080-Aは一部エッジの補修がされていますが、繊維の長い特殊な和紙を使って丁寧に補修してあり、追加重量は最小限になっているため音質を損なうことは無いと思います。
見てすぐ判るのはコーン紙の裏側、フレームとの間に羊毛フェルトが入っている事でしょう。
これは音を聴いて決められたダンプ材だと思いますが、コーン紙の保護にも一役買っている筈です(未確認情報ですが、後にウレタンでダンプしてあるものも発売されたらしいです)。
写真ではわかりませんが、中をのぞき込むと蝶型ダンパーの裏面にも羊毛フェルトが入れてあり、ダンプされています。
同様に音を聴いて仕込まれたのでしょうが、やはりダンパーの保護に役立つと思われます。
ここから先はベンプレ親父には判りませんが、先輩からの口伝に依りますと、ボイスコイルが違うそうです。ボイスコイルは515より細く、ターン数は515より多いそうです。
中高音の細かい音を出すためには、このボイスコイル径と巻き方がポイントとの事でした。
センターキャップの裏側にマス・コントロールリングが入っているとのネット情報もありましたが、これは裏が取れていません。
アルテック515と515Bもボイスコイルが異なり、音の違いをもたらす要素になっている様です。どちらもエッジワイズ巻きですが、ボイスコイル長が515Bは6mm、515は10mm。
よく判らないのですが、515Bはシングルターンで515はダブルターンとか。要するに巻き方も違うらしいです。 そのためなんでしょうか、515Bのインピーダンスは公称16Ω、DCR11Ωに対し、515は公称20Ω、DCR8Ωです。
2080Aのインピーダンスは16Ωとも20Ωとも言われますが、まあ、クロスオーバー周波数でのインピーダンスでなければ意味が無い事ですから、気にしないでおきましょう。
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